私の住み替えストーリー・第1話【後編】

株式会社ハピネススタイル 代表 中村多喜子

■実家+自宅の売却準備をスタート

早速、木更津の実家と自宅マンションの査定をしました。

木更津の実家は築40年超、2度リフォームをし、室内はまだ十分使える状態でした。土地は80坪ありますが、旗竿地(旗のような形になっている土地)で、間口が3mしかありません(車は縦列で2台)。土地の評価としては少しマイナスです。

最初、義父は査定額に納得せずにいましたが、近隣で新築物件が多く出ていことを知り、それであれば仕方ないと納得してくれ、売却することを決めました。

ここからあと、私にできるのは案内の時に雨戸を全部開け、部屋を明るくし、内見に来たお客様をお迎えすることだけです。雨戸が閉まっていたり、部屋が暗かったりすれば、決まるものも決まりませんし、とにかく義父に任せておくのは心配で(笑)。

私はいつも「不動産はご縁」だと思っています。ですから、ご縁のある方に繋がることをただただ毎日祈りました。

私たちの自宅マンションについては、購入希望者の多い人気のマンションだったので、価格さえ適正であれば売却については心配していませんでした。ただ、実家と自宅の荷物の整理のため、内見のお客様をキレイなお部屋でお迎えするなどの対応ができないため、協力会社に「買取」で売却することにしました。

 

■目の前の富士山の姿に圧倒。「ここにしよう」と即決

やはり一番大切になるのは、これから家族が住む場所です。

不動産業に20年以上携わっていても、いざ自分のことになると、どうしたらいいか整理がつかないことばかり。お客様の物件を探すときとは勝手が違いました。とにかく帰宅し家事が終わった後、そして早朝に起きて、物件を探し、業務の合間を縫いながら、新築・中古のマンション・戸建と、賃貸も含め気になる物件を片っ端から内見していきました。

気に入った物件があって申し込みましたが、タッチの差で別の方に申し込まれてしまったり、気に入っても方位が悪かったり…。一喜一憂する毎日が続く中、だんだん焦りが募っていきました。

そこで、物件探しのエリアを広げてみることにしたところ、思いがけない場所に気になる物件を発見! あまりに気になったので、もう夜でしたが「外観だけでも」と、仕事帰りに見に行くことに。あいにくまだ建設中でしたが、なんとなく縁を感じたので翌日改めて内見することにしました。

内見日和の秋晴れの朝、物件に到着し玄関に向かうと、目の前には富士山がドーンと出現!その眺めは1階の洋室、2階のリビング、もちろん屋上からでも変わらず、夫婦二人でそのパワーに圧倒され、心の奥からなんともいえないワクワク感が沸き起こってきました。

南玄関、水回りの方位もOK、日当たり良好!富士山パワーでテンションが上がった勢いもあり「即決」での申し込み。気になる物件を逃した反省もあり、このタイミングを逃したくないという気持ちも背中を後押ししてくれました。8畳ある1階の洋室は明るく、部屋の中からも富士山が見え、きっと義父も気に入ってくれるはず―。縁がある物件だと直感、そして実感しました。

 

■木更津の家も、奇跡的に縁ある方の手に

残るは木更津の実家ですが、こちらは想定どおりかなり苦戦しました。何組もの人が内見には来るのですが、どうしても申し込みには至りません。長期戦を覚悟していたとき、義父に1本の電話が入りました。

「ご自宅が売りに出ていると伺いまして…。これからお邪魔してもよろしいでしょうか?」

それは、亡くなった義母がお世話になっていた介護ヘルパーさんでした。

聞くとヘルパーとして出入りしていたとき、「庭の手入れも良くいい家だなと感じていた」とのこと。そして親と同居するために家を探そうと思っていたところ、義父の家が売りに出ていることを知ったそうで、「中村さんの家なら買いたいと思ってお電話しました」と、いきさつを説明してくれました。

義父も私も「そんなこともあるのか」と驚きましたが、きっとこれは亡くなった義母が取り持ってくれた縁だと、心底ありがたいと思いました。義理の両親にとって思い入れのある家。リフォームして生まれ変わり、新たな家主とともに住み継がれていくことで、築40年の家にも再び価値が生まれた瞬間でした。買い手が見つからなければ、空き家になってしまいます。そうなった場合は家を取り壊し更地にすることも考えていましたので、本当にありがたいことでした。ご縁に感謝です。

 

■引っ越しは断捨離のチャンス

さて、実家も自宅マンションも売却が決まり、いよいよ新居への引越しです。5LDKの実家+3LDKの自宅マンションから、4LDKへの引越し。どう考えても荷物は入りません。ここは“断捨離”するしかありません。

私たち家族は、新居に持っていかない物を、燃えるゴミ・燃えないゴミ・粗大ごみ・リサイクル(売れる物)・人にあげるもの―と分けていき、使わない物はどんどん処分していきました。絶対使わないけど「いつか使うかも」と取っておいた子ども達の教科書や本、教材、数年着ていない服や靴、食器や家庭用品・電化製品等、気付けばいらないものばかり。断捨離するには最大のチャンスになりました。

一方、義父はというと、40年以上住んでいた家ですので私たち以上に荷物が多く、大切に保管していた物も老朽化が進み、使えないものばかりでした。

また足の悪い義父は、一人では片付けができませんでしたので、義父の知り合いがみんなボランティアで手伝ってくれました。軽トラックに不用品を乗せ、何度もゴミ焼却センターに捨てに行ってくれました。そしてソファーや家具、家電製品、食器などは、欲しい方にお譲りしました。

ただ、義父にはどうしても捨てられないものが沢山ありました。

義父は学者であり、第4次南極観測隊のメンバーでもあり、高専と大学で教鞭に立ってもいました。その研究・知識に必要だった貴重な本や資料が、本棚と物置に眠っていたのです。これだけは処分することはできませんでしたので、義父は南極観測隊事務局に相談し、一部を寄付することに。そして義父は、沢山の方のお力を借りて断捨離することができました。

一部は廃棄せず、お譲りしたり寄付したり、喜んでいただける方に届けることができました。ありがたいです。これも本当にご縁です。

 

■住み替え大成功!でもスタート時にはトラブルも

3年程前から、一人暮らしの義父の住み替えを考え始め、それから色々なことがありました。2017年10月から横浜での同居を考え始め、義父の家と自宅マンションの売却と新居購入、そして12月27日に私たちは新居へ引越し、2018年2月2日に義父が木更津より引っ越してきました。

思い返せば、不動産業の私が言うのもなんですが、これは奇跡のスピードでの住み替えです。同時に、この住み替えは私だけはできませんでした。見守ってくれる方がいて、協力してくれる仕事仲間がいて、そして沢山の方々にお力をいただき、助けてもらったからこそできたことです。そしてそれぞれの土地を守ってくれている氏神様、天国にいる義母の取り持ってくれたご縁、すべてのご縁に心から感謝しています。

さて、引っ越しと同時にケアマネージャーを探し、住宅設備のバリアフリー化やデイサービスの手続きなどを進め、義父の受け入れ態勢を整えました。

でも、すべてが順調だったわけではありません。通所し始めたデイサービスでトラブル発生!新設されたばかりのデイサービスで、スタッフの一部が不慣れなのか、今まで通所していたデイサービスと比べると、義父は満足いかなかったようです。その対応に義父は激怒する日もあったようで、「もうこのデイサービス行かない!」と言い出したのです。結局デイサービスを変えることにしました。引越ししてきたばかりということもあり、環境の変化もあったかもしれません。

その後、義父は少しずつ横浜の生活も慣れ、より食も進むようになり、歩行器がなくてもゆっくりと歩けるようになってきました。同居して互いに安堵しています。

 

■自宅マンションのリノベプランも大公開!

自宅マンションについては、1つプロジェクトが生まれました。売却先は協力会社の不動産会社で、リノベーションして売り出すことが決まっていましたが、その設計について住んでいた私の意見を反映することになったのです。

そこで、動線が悪く使いにくかった押入れとクローゼットを合体させ、広々としたウォークインクローゼットに、キッチンは吊り戸をはずしてオープンキッチンに変更するなどのプランを企画し、想いを詰め込んだリノベーションプランになりました。住んでいるときに感じていた「これがあったらいいな、こうなったら便利だな!」を追加することで、新たに住まう人にとっても、住みやすい生活空間に生まれ変わりました。

さらに完工後には、オープンルームと併せてリフォーム相談会も開催し、見学者だけでなくマンションの居住者にも内覧していただくことにしました。オープンルームには40組が来場し、そのうちの1組が企画したリノベーションプランを気に入り、購入を決定。さらに居住者からも「こんなリフォームなら我が家でもしてみたい」「こんな間取りにもできるのね」という感想が多く寄せられるとともに、実際にリノベーション工事の申し込みもいただきました。そのお客様もこのプランを気に入るとともに、「ショールームと違い、同じマンションでリフォーム後の変化を全部見ることができたので、本当に良かった」とおっしゃっていただきました。

漠然としていたリフォームのイメージが、具体的なプランを見ることで明確になったようで、お客様のお役に立てて本当によかったです。

◇ ◇ ◇

■【RESTART】リスタート=住み替え

さて、住み替えからあっという間に1年。これまでを振り返りながら、この住み替えストーリーを書いています。

50代にして、思いがけないライフスタイルの変化は、私だけではなく、同世代にも同じように訪れます。きっと私のように、悩んでいたり、不安になったりしている方は沢山いらっしゃると思います。このストーリーを読んでもらいことで、何かのきっかけになっていただければ幸いです。

 

私は住まいに係る専門家として、「50代からの住み替えをお客さまの目線で考えたい」という思いから、「【RESTART】リスタート〜50代からの住み替え〜」の立ち上げを決めました。

 

人生にリセットはなく、でもリスタートさせることはできます。

このサイトでは、不動産・建築などのプロが集まり、それぞれの得意分野を生かしながら「お客さまに寄り添い住み替えをサポートしていくこと」を目的にしています。

今、深刻な社会問題である「空き家問題」…

人が住まなくなる家は、家が傷みだめになってしまいます。

義父が建てた家は、近い将来空き家になったかもしれません。

 

空き家になる前に、今だからこそ、価値を失いかける不動産をどのように有効利用するべきか、市場から求められるものへ変化されるべきか、そして新たな流通を促し、次の世代に繋げていくこと、皆様と一緒に考えていきたいいです。

 

【RESTART】リスタート〜50代からの住み替え〜」をどうぞ宜しくお願いいたします。

私の住み替えストーリー・第1話【前編】はこちら

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